スマートグリッド1 各国のスマートグリッドの特徴

スマートグリッド」という言葉は、様々なものを指します。元々はアメリカの電気事業者が提唱したもので、「優れた送電網」の名の通り送電線の改善を目指したことから来ています。アメリカでは大規模発電を各地に送電するシステムが主流だが、近年では送電線の長距離化によるロスと老朽化によるトラブルが問題視されていました。2003年に北東部での大規模停電が発生したように、停電が頻発してその被害は年間150億ドルにのぼるといわれています。

また、ヨーロッパではスマートグリッド再生可能エネルギーの勃興と結びついています。再生可能エネルギー、特に太陽光発電風力発電は発電量が自然条件に大きく左右されるため、既存の電源と統合して安定した電力供給を行なうために電気メーターの整備(イタリアなどはかつてアバウトな電気使用量管理がなされていた)、双方向データの管理による需給の効率的なバランスを達成すること、さらにはその電気を用いた電気自動車の普及などが主な目標になっています。

日本の場合、アメリカほど送電線が長くなく、老朽化への対応も進んでいます。また、3月の停電時でわかったように、リアルタイムでの電力需要の把握もかなり進んでいます。ある意味、アメリカにおけるスマートグリッドは、日本ではすでに達成されていると言ってもよいようです。なので、ヨーロッパのように再生可能エネルギーと既存電力の統合が主な目標になります。

また、スマートグリッドで欠かせないのが二次電池(蓄電池)の存在です。かつて「電気は貯められない」と言われてきましたが、電気自動車の開発に伴って大容量の二次電池も進化し、リチウムイオン電池NAS電池、ニッケル電池などが実用化されています。これらの二次電池は電気自動車を支えるだけでなく、電力における大きな問題、時間帯によるギャップを埋める大きな武器になります。
みなさんご存知のように、真夏では午後一時〜二時の時間帯が最高の使用電力量を記録し、夜の時間帯では昼の50%から60%にとどまります。
(参照:最大電力発生日における1日の電気の使われ方の推移
いままではこの最高使用量に合わせて発電所が運転されていますが、もし夜の間に発電した電気の余りを昼に使えるのなら、現在より最高発電量が少なくて済みます。

日本に一番相性がいいスマートグリッドのツールはスマートメーターかもしれません。スマートメーターは、電力会社がリアルタイムで各家庭の電気使用量を把握できるだけでなく、各家庭もパソコンで見られます。省エネ意識の高い日本人は、きっとスマートメーターを活用して自宅の電力使用の問題点を探り出し、家庭での節電を達成するでしょう。こちらの会社のサービスが、スマートメーターに類似したサービスを展開しています。

以上、簡単にスマートグリッドの特徴を書きましたが、次の記事ではスマートグリッドの将来性と潜在能力について触れたいと思います。