なぜ再生可能エネルギーなのか

脱原発の議論が盛り上がるにつれて再生可能エネルギーに注目が集まっているが、再生可能エネルギーのメリットについて案外語られていないことが多い。
自然エネルギー」「地球にやさしいんだな」というイメージだけでは、「風力発電低周波騒音が問題だ」などというデメリットを指摘された時に反論できなくなってしまう。いまいちど、再生可能エネルギーのメリットについてまとめたい。


再生可能エネルギーとはなにか】

・絶えず資源が補充されて枯渇することのないエネルギーのこと
・太陽光、太陽熱、(小)水力、風力、地熱、波力、バイオマスなど

再生可能エネルギーのメリット】

1.資源が枯渇しない

18世紀の産業革命以後、エネルギーの主力を担ってきたのは化石燃料(石炭、石油、天然ガス)である。これらは限りがあり、数十年から数百年の間に枯渇すると言われている。また、20世紀に新たに登場した原子力も、放射性物質、主にウランを用いており、数十年後に枯渇することが指摘されている。

それに対して、再生可能エネルギーは太陽や地球のエネルギー、または人間の活動による廃物を利用したエネルギーなので枯渇しない。


2.日本のエネルギー自給率アップに貢献する

再生可能エネルギーは外国からの資源輸入に頼ることがないので、エネルギー自給率アップに貢献する。日本は他国と比べると地熱、波力の資源量が多く、開発の余地がたくさん残されている。
エネルギーを外国からの輸入に依存することのリスクの高さは、最近正月の風物詩となってしまったロシアとウクライナのガス料金交渉や、かつてのオイルショックを鑑みれば明らかだ。


3.リスクを分散する

一つのエネルギーに依存することは社会として大きなリスクである。311の大震災における原発・火力発電所の同時被災や、ガソリン不足による物流の停滞を見れば明らかだ。再生可能エネルギーは日本中いたるところに転がっているので、地理的な分散が可能になり、リスクを分散できる。また、多様なエネルギー源を利用することによって、想定外の事態(例えば火山の大噴火で太陽光が遮られる、など)にも備えることができる。資源価格の高騰によるコストの上昇という問題も起こりにくくなる。


4.SOx、NOxなどの有害物質を抑制する

化石燃料を燃やすと、どうしても硫黄酸化物・窒素酸化物が排出されて酸性雨などの公害問題を引き起こす。再生可能エネルギーはそういった有害物質を発生させることが少ない。


5.権力を分散する

エネルギーはパワー(権力)をもたらす。大きなエネルギー源を支配することは、それだけで強大な権力を握ることになる。原子力核兵器原子力発電)。石油のもたらす権力の大きさは誰もが知るところである。
再生可能エネルギーはエネルギー源によって差はあれ、基本的にはいたるところに存在しているから誰もが利用可能だ。そのエネルギーを簡単に利用できるようになれば電力会社が強大な権力を握ることはなくなる。再生可能エネルギーは真の民主主義に近づく有力な手段なのだ。


再生可能エネルギーのデメリット】
エネルギー源によっていろいろなデメリットがある。例えば、太陽光や風力は気象条件によって出力が左右され、安定しない。太陽光発電は発電単価が高い。風力発電低周波公害、バードストライクの問題がある。地熱は既存の温泉との競合の恐れがある。

だが、これらの問題は技術の進歩で克服できそうな見通しが立っているものもある。太陽光パネルは量産化によって単価が下がる。出力の不安定さは蓄電池を活用したスマートグリッドの技術が進歩すれば問題ない。


【まとめ】
再生可能エネルギーは、決して「地球にやさしいから」という曖昧なイメージで推進するべきではなく、これらのメリットを踏まえた上で推進するべきだ。再生可能エネルギーのメリットは決して個人のものだけではなく、企業や社会全体のものであることを認識して欲しい。