5/10提言 ついにチェルノブイリ越え 政府は放射能汚染を過小評価して数十万の市民を被曝させるのを止めろ

とうとう5月8日の会見で、チェルノブイリを越える土壌汚染が福島に存在することが明らかになりました。

「東電原発事故は、チェルノブイリを超えたのか?」
http://kinoryu.cocolog-nifty.com/go_kinoryu/2011/05/post-3ae9.html

さて、最後になったが、個人的に大きな問題だと思ったのは冒頭で触れた航空機によるモニタリング結果。文科省のHPに結果が公表されているので見てほしい。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/05/06/1305820_20110506.pdf
(PDF開きます)
問題なのは、この中の放射性物質濃度のページ。チェルノブイリセミパラチンスクなどを取材してきたNHKの石川一洋氏が「この単位は間違っていないのか?」と確認し、その後で、「この数字は驚くべきもの。僕は本当に驚いている」と繰り返したたほど、異常な数値が出ているのだ。
資料にある地図中で、もっとも放射性物質濃度が高い赤い部分は、セシウムの濃度が300万ベクレル/m2を超えるエリア。安全委員会によれば、「チェルノブイリは、半径30kmで、148万〜370万ベクレル/m2がもっとも高いレンジだった」ので、今回の資料が正しければ、軽くチェルノブイリを超えていることになる。
さらにいえば、京都大学の今中哲二助教(原子炉工学)によれば、チェルノブイリ強制移住地域に指定された場所の濃度は、旧ソ連で148万ベクレル/m2。1990年にベラルーシが移住対象にしたのは55万5000ベクレル/m2だということなので、6倍超になる。

さらに、5月9日の会見では、土壌汚染が深刻な値になっていることを踏まえて、こんなことまで言っています。

チェルノブイリを超えた。チェル最高148〜370万、福島300〜3,000万ベクレル。8日の共同会見で認める。(会見テキスト起こし付き)」
http://www.monipo.net/blog/x/osenmap-110509/

共同会見で質問があり、下記のような回答でした。
チェルノブイリ(ベルラーシという原発近くの都市)で土壌の汚染を基準に避難した事は知っている。しかし、今はICRPの最新の勧告に基づき線量で防護措置を取っている。
土壌汚染によるチェルノブイリとの比較は議論していない。
チェルノブイリは土壌汚染の基準で決めた時期、線量で決めた時期などいろいろ基準も動いている。とも言っていました。

この詭弁はすさまじいものがあります。土壌汚染があれば、それ相応の放射線が放出され、今も刻々と人体に影響を与え続けています。それなのにICRPの勧告(どの勧告?)を絶対視して、チェルノブイリでの事例との比較を「議論していない」なんて!。これはもう犯罪です。

今までも放射能汚染の過小評価は行なわれていました。文科省はなぜか報道への情報として累計線量を発表する時、3月23日からの累計しか示していません。たとえばこの記事です。

「福島第1原発:累積放射線量 浪江27ミリシーベルト
毎日新聞 5月10日
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110510k0000m040120000c.html 

文部科学省が9日発表した福島県の累積放射線量(3月23日〜5月8日)は、福島第1原発から北西約31キロの浪江町で27.04ミリシーベルト、同約33キロの飯舘村で15.43ミリシーベルトだった。

モニタリングポストの測定結果から、3月15日前後に大量の放射能放出が起こったことはすでに明らかになっています。それなのに3月15日から3月23日までの放射線を累積に入れないのはひどい情報操作です。

これまで、政府は情報を隠して避難地域も狭め、食品の放射能汚染上限も引き上げ、子供の被曝レベルも引き上げ、食品が売れなかったり外国から観光客が来なかったりすると「風評被害」と言い続けていました。それが、事故から二月あまり経った今になって、チェルノブイリを越える汚染があったことが明らかになったのです。これは犯罪です。政府は子供や食品の数値について「緊急時だから引き上げた。これから順次引き下げていく」と言いますが、半減期の長いセシウムの汚染がこれだけ広がっている以上、数ヶ月で汚染がおさまっていくことは期待できません。今すぐ政府は以下のことを行なうべきです。

・土壌汚染データを広く国民に知らせ、汚染度の高い地域に今すぐ避難を呼びかける、または避難の支援をすると宣言すること

・子供の被曝レベルを引き下げて、子供、妊婦の避難を徹底させること

・食品の放射性物質汚染上限値を引き下げ、徹底した補償を農家、漁業家、畜産家に行なうこと

α線を発するプルトニウムβ線を発するストロンチウムのモニタリングを全国的に行なうこと

・今後の放射能汚染について、SPEEDIの情報を開示して放射能拡散予測を行い、避難に役立てること


政府は、爆発当初の汚染を過小評価したことで、すでに甲状腺ガンのリスクを高めました。ポーランドチェルノブイリ事故に際してヨウ素剤を至急配布して甲状腺ガンの発症を押さえたとの真逆の対応です。
上記の対応を行なわずに政府が放射能汚染を過小評価し続けるのなら、市民は政府による「緩慢な虐殺」の危機にさらされるのです。こんな犯罪、許してはなりません。