3.11以後の再生可能エネルギー発展案<簡易版>

今後のエネルギー政策について、箇条書きで展望を書きました。
とても平凡ですが、それくらいやるべきことはわかり切っているということです。
以下のようなことを進めずに「地下原発推進」などと主張する政治家は時代についていけない老害であると断定して構いません。


【3.11以後の再生可能エネルギー発展案】


1 日本のエネルギー消費概要の特徴
化石燃料依存度が高い(83%) ・エネルギー自給率が低い(14%) ・国全体の最終消費量は’90年代半ばから高止まり傾向 ・’70年代以降、省エネが進む

2 3.11の東日本大震災が与えた影響
福島第一原発事故により、原子力の推進を転換せざるを得ない
(新規原発建設が困難/安全対策強化で廃炉が進み、コストも上がる/核燃料サイクル政策も2050年まで実現化できないことが判明)

地政学的、地質的リスクを分散する必要がある
(太平洋側の原発、火力発電がいっせいにダメージを受けて電力供給力低下/石油コンビナート、石油タンクなどがダメージを受けて石油供給力が低下)

・九電体制による送配電一体型/地域独占/中央管理型の電力供給が非常時には機能しないことが判明
(2011年3月の計画停電がその証明。中央管理/大規模発電により地質的リスク分散に失敗)

3 3.11以後の日本のエネルギー政策に必要なこと
地政学・地質的リスクを分散する ・エネルギー自給率を高める ・九電以外の新規発電会社参入を促す ⇒ 再生可能エネルギーの導入が不可欠

4 3.11以後の再生可能エネルギー政策の手順ーキーワードは「分散」

<エネルギー源の分散→リスクの分散、権力の分散>

(1)導入実績があり、夏のピーク対策に有効な太陽光発電設備を先行して建設する。また、病院、役所、学校などの施設に小規模太陽光発電+充電池を設置し、災害時に強い電力システムを構築する

(2)インフラ整備としてスマートグリッド促進。特に、電力需給のリアルタイムな把握とコントロール、大容量充電池の設置が重要。また、スマートメーターは省エネ意識の高い日本人に向いているツールなので早めに導入する。

スマートグリッドはソリューション事業を立ち上げて海外への販売も展開し、原発輸出事業の代わりとして力を注ぐ。

スマートグリッド促進と同時に電気自動車普及(走行距離の限られている市内バス、タクシーなどを先行。災害時の蓄電池としても利用可能)も行なう。

(3)日本の風土、地形にあった再生可能エネルギーの普及を模索し、開発・導入を行う。例えば、地熱発電、潮力発電、小水力発電など。

(4)投資による開発を行い、発電コストを下げる努力を継続的に行う。特に、大容量充電池については、レアメタルのリチウムを使わない次世代電池の開発が重要(地政学リスク分散のため)。

(5)再生可能エネルギー導入を促進するため、電力買取り価格を低く抑えたRPS法を破棄し、2011年3月11日に閣議決定した全量買い取り法案を成立させる。


【6/25補足】再生可能エネルギーが発展するまでの過渡期を乗り切る方法

・長期停止中の火力発電(宮津、海南など)を復旧させる
・老朽化で廃止した火力発電所の跡地にコンバインドサイクル発電所を設置する
・企業の自家発電の余剰買取を強化する
・上記(1)と同じく、公共施設における大容量充電池(NaS電池など)を設置する

参考 経済産業省平成22年6月エネルギー白書
富士通総研「東日本大震災の日本経済に与える影響と教訓(6)」